視線恐怖症の原因と治療、克服方法
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視線恐怖症の原因と治療、克服方法
視線恐怖症とは?
誰しも他人に睨みつけられたりジロジロ見られると、その視線が気になってしまい落ち着きませんし嫌な気分にもなってしまいますよね。
ただ、視線恐怖症とは「視線が気になる」を通り越して強い不安や恐怖を感じてしまうのです。
また、あがり症、赤面恐怖症、多汗症、脇見恐怖症、などとも共通する原因や症状であり、大きなくくりでは対人恐怖症の一種と見ることもできます。
視線恐怖症には大きく分けると2つの種類があります。
1.他者視線恐怖症
2.自己視線恐怖症
1.他者視線恐怖症:他人の視線に対する不安や恐怖
他人の視線が気になるため、常に見られている感じがしたり、自分の事を言われている気がしたりします。監視されているように感じる人もいます。
そのため周りに人がいると常に緊張や居心地の悪さを感じてしまい、
- リラックスできない
- 集中できない
- 会話ができない
- 自然な動作ができない
- 頭が真っ白になる
- 相手の顔を見られない
- 目を合わせられない
- 自分がどう見られているのか気になる
- 人からの評価が気になる
という状態になってしまうのです。
また不特定多数ではなく限定された人の視線が気になるという方もいます。
・異性の目が気になる
・目上の人の目が気になる
・特定の人の目が気になる
・特定のタイプの目が気になる
2.自己視線恐怖症:自分の視線に対する不安や恐怖
自己視線恐怖とは相手の視線ではなく、自分の視線が気になってしまう症状です。
自分の視線が相手を不快にさせているのではないか?
という「囚われ」が強くなり、相手の目を見られなくなったり直視できなくなったりするのです。
そして目のやり場に困り、挙動不審な対応がさらに「周りから変に思われているのではないか」という脅迫観念につながってしまうこともあるのです。
視線恐怖症の原因とは?
ではどうして他人や自分の視線が必要以上に気になってしまうのでしょうか?
それにはやはり過去の体験が一番影響を与えています。
特に親兄弟など家族、友人関係で以下のような対応をされた事によって、「自分がどう思われいるのか?」「どう見られているのか?」が気になり、その思考が視線への過度な意識につながってしまうのです
- 自分に対する批判、否定
- いじめ、嫌がらせ
- 誹謗中傷
- 噂話の標的にされる
- 嫉妬の対象にされる
- 身体的コンプレックス
- 経済的コンプレックス
- 家庭環境へのコンプレックス
- 人前での失敗経験
- 人前での恥ずかしい体験
- 人には言えない過去
- 過干渉、厳しく管理された体験
などが原因となり、見られることへの抵抗感や不安、不快感などが生まれ、それが視線に対する恐怖心につながって行くのです。
視線恐怖症の克服方法
認知の歪み修正
周りの人が何を考えどこに意識を向けているのかは、実際に相手に確認してみなければわかりません。
しかし、他者視線恐怖では「みんなが自分を見ている」、自己視線恐怖では「自分の視線が相手を不快させている」という思考に囚われてしまっています。
もちろん頭ではそんなわけがないとわかっている人もいますが、やはり人のいる場面になるとそう感じてしまうのです。
「視線」についての自分の考えや感じ方というのは、事実ではなく解釈や思い込みに過ぎません。そのことに気づき認知の歪みを修正させることが大切です。
認知の歪みを修正するためには、他の人から以下のような質問をしてもらったり、自分自身に質問をしてその答えをしっかりと紙に書き出すことが大切です。
思考というのは頭の中で完結してしまいますので、言葉として相手に出すことや、紙に文字として書き出すことでより客観的な事実として認識できるのです。
では認知の歪みを修正する質問をいくつかご紹介します。
【認知の歪みを修正する3つの質問】
1.「なぜそうだとわかるの?客観的証拠は?」
- 「なぜみんなが自分を見ているとわかるのか?その客観的証拠は?」
- 「なぜ不快に思っているとわかるのか?その客観的証拠は」
知らず知らずに相手の心を見透かしたように「他人は絶対そう思っている!私にはわかる!」とマインドリーディングしていることがあります。しかし超能力者でもない限り相手の本心などわかりません。
「自分がそう感じるから相手もそう感じている!」というのはいささか身勝手な考えなのです。
客観的証拠は?と自分に問いかけると大抵の答えは「そう思うから」「そう感じるから」という一方的な思い込みに過ぎないということに気づけます。
2.「みんなってどこの誰なの?本当に全員?確認した?」
- 「みんなが自分を見ているって具体的に誰?」
- 「10人いたら例外なく全員があなたを見ている?1人1人確認した?」
私たちはあることを解釈するときに「みんな○○だから…」という表現を使いがちです。しかし、その場の全員が同じということは100%ありえません。
そう思っている人もいるかもしれないし、思っていない人もいるのです。
ですから例外を見つけることが大切です。
「みんながこっちを見ている!」と感じた時にはついつい目を伏せてしまいがちです。しかし一度勇気を出してじっくりと周りを確認してみると「その場の全員がこっちを見ているわけじゃない」という事実に気づけると思います。
3.なぜ「視線」が「不快」や「恐怖」の原因になるの?
- 見られることがどうして嫌なの?その理由は?
- 相手に視線を向けることがなぜ迷惑になるの?
私にも経験がありますが、例えば電車の中で2〜3人の学生が話している最終にチラッとこちらを見て目があったとします。
すると自分の頭の中ではこんな妄想をはじめます。
「あの学生は自分の悪口を言っているに違いない!」
「変な奴がいるぞ!とバカにしているに違いない!」
相手が本当にそう思っているのかはその本人に聞いてみなければわかりません。まさに被害妄想をはじめてしまうのです。
そもそも視線を向けることがすべて悪いことではないのです。
しかし視線恐怖症の人は「視線=悪いこと」と思い込んでいます。
人は何気なく周りを見渡したり、たまたま目が合ってしまうこともあります。
ですから視線=悪意、視線=否定的評価、視線=軽蔑、といった勝手な関連付けをしている自分にまずは気づくことが大切なのです。
価値観の転換
先ほど説明したように視線恐怖症の人は「見られること・見つめること=いけないこと」「視線=怖いこと」というイメージが定着しています。
ですから視線恐怖症に悩むの多くの方は「見られる自分」に対しても自信がないのです。セルフイメージが低くなってしまっているのです。
自己視線恐怖症でも、自分が相手を不快にさせているかもしれないという思いが強いため、そんな自分に自信が持てず「自分=相手を不快させる存在」というセルフイメージを持ってしまっているのです。
ですから視線恐怖症を改善させるためには、「見られること・見つめること=いけないこと」という価値観を解消させると同時に、セルフイメージを高める事も大切なのです。
そのためには過去から現在を改めて客観視することが重要です。
「視線恐怖症の原因」でもお伝えしたように、視線恐怖症の方は過去の何らかのネガティブな体験を通して、他人からの目や評価を必要以上に気にしてしまうようになってしまったのです。
ですから当時の自分は傷ついたり、落ち込んだり、怯えたりしたのは仕方がないことです。
まずはそんな過去の自分と視線を気にしてしまった事実を認め、優しく受け入れてあげましょう。
「そうだよね。あんな経験をしたら誰だって視線が気になるようになるよ!」
「決しておかしなことじゃないよ!」
と過去から現在までの自分を素直に認めてあげましょう。
次に、現在の事実をしっかりと確認してみましょう。
過去の自分は相手の視線が気になったかもしれませんが、今目の前にいる人たちは当時の人ではありません。当時の相手のように否定的な目であなたを見ているわけではありません。
その事実に気づくためには「例外」を探すと効果的です。
自分を好意的に見てくれている人やごく普通に接している人を紙に書き出します。これらの人はあなたに否定的な視線は浴びせません。その事実を再確認するのです。
次に見ず知らずの世の中の人に思いをあせます。
街ですれ違う人、お店の定員、電車で向かいに座っている人など…を冷静に思い浮かその人の立場で周りを眺めるイメージをします。
その人から見れば周りの人や接する人は、赤の他人で知らない人です。あなたもそのうちの一人に過ぎす、その他大勢です。
映画やドラマに登場する大勢のエキストラのようなものです。誰もあなたに気も止めません。世の中の誰もが仕事のこと、人間関係、恋愛、今日の予定、食事のメニューなどなど、頭の中は自分のことで一杯です。
そんな人たちがあなただけに注目することも、あなたを特別視することもありません。「人にかまってられない」というのが本心なのです。
その事実を相手目線でイメージして確認してみましょう。
すると「自分は変な目で見られる存在だ」「自分は人より劣って見られている」といったセルフイメージが緩和されて行きます。
イメージ転換
多くの視線恐怖症の人は過去に何らかの視線を気にするようになった体験があります。
現在にも大きな恐怖心や囚われを起こしている過去の出来事は「トラウマ」と呼ばれています。
トラウマ体験がなければ視線恐怖症にならなかったのかも知れないのです。
過去に起きた出来事は変えられません。
しかし、過去に起きた出来事のイメージは変えられるのです。
実は私たちは目の前の現実に反応しているつもりでも、実は記憶というイメージに反応しているのです。
例えば、父親がとても厳しく威圧的だったとします。いつも父の目を気にしてビクビクオドオドして過ごしていました。その結果、他人の視線が気になるようになってしまった。
そして、上司が父と同じよな威圧的な人で大の苦手だとしたら、実は目の前の上司にビクビクしているように見えて、その上司にかつての父の姿をダブらせているのです。
本人は意識していなくても、無意識下では上司ではなく記憶の中にある父親のイメージに反応してしまっているのです。
ですから、過去に何らかのトラウマ的な体験があり、それが視線恐怖症の原因となっているのなら、そのトラウマ体験のイメージを変えることで、視線への過剰反応も改善させることができるのです。
【参考記事】
まとめ
人は誰でも人からよく見られたい、好かれたいという思いを持っています。ですから視線を浴びることで「自分は注目されている!」と喜びを感じる人もいます。
しかしその一方、視線がネガティブな感情とリンクしてしまっている人もいます。
ですから「視線」自体に良いも悪いもないのです。それを自分がどう捉得るのか次第なのです。
だとしたら「視線」をプラスに捉えたいですよね。
そのためにもまずはついつい視線を気にしてしまう自分を素直に認め、受け入れてあげましょう。
そして「1年後、3年後…視線を全く気にしない自分になれたとしたら、日々どのように過ごしているのかな?」そんな「ありたい姿の自分」をありありとイメージしてみてください。
ネガティブな状態の自分を否定するのではなくまずは受け入れ、その上で今後のプラスの自分に意識を向けることが大切です。
あなたは決して劣ってもいませんし、バカにされるような人ではありません。
まずは自分自身がそのことに気づいてください!
「視線恐怖症」解説動画
視線恐怖症について動画でも解説していますので、ご参加ください。