嘔吐恐怖症の原因と克服、治療方法
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嘔吐恐怖症の原因と克服、治療方法
「嘔吐恐怖症」とは、その名の通り、嘔吐に関して恐怖心を抱いてしまう症状です。
誰しも吐く時は苦しくて辛いですし、他人が吐く姿や吐瀉物(としゃぶつ)を見るのは嫌ですよね。
「できることなら吐きたくないし、他人が吐くシーンや残骸は見たくない」そう思います。
しかし、嘔吐恐怖症が酷くなるとこう考えます。
「吐くくらいなら死んだ方がマシだ!」
冗談のように聞こえますが、本当にそれくらい吐くことに対する恐怖心や嫌悪感が強いのです。
嘔吐恐怖所の症状
症状としては、
- 胸のドキドキ感や動悸
- 胸のつかえや気持ち悪さ
- 吐き気
- 喉のつかえ
- 息苦しさ
- 全身の血の気が引く
- 冷や汗が出る
- 頭が真っ白になる
- いてもたってもいられなくパニックになる
- その場から逃げ去りたい衝動
などが挙げられます。
どの症状が出やすいのか、そしてその深刻度などは個人差があります。苦手だけれども何とか我慢できる軽度の方から、パニックになってしまう人まで様々です。
ではどんな場所やシーンでこれらの症状が出るのでしょうか?
嘔吐恐怖症の人が苦手な場所や場面
嘔吐恐怖は閉所恐怖症や広場恐怖症を併発することが多いです。
なぜなら、「吐く=突然もよおすもの」ですから、すぐにトイレなどに駆け込めない場所や、周りに人がたくさんいる状態、自分の意思で出入りができない場所などが苦手になるからです。
嘔吐恐怖症の人が苦手とする具体的な場面は…
- 電車やバス
特に満員時には大きな抵抗感を感じる。夜は酔っ払いと遭遇する可能性があるため昼間は平気でも夜の電車はダメという人もいる。すし詰め状態だと圧迫感と息苦しさでパニック状態になる人もいる。
- 飛行機
完全に密閉空間で、離着陸時にはトレイにも行けない拘束状態であるため苦手としている人も多い。
- 車
自分や家族などの慣れた人が運転する場合は平気だが、慣れない人の運転する車はダメというケースも多い。また一般道は平気だが高速道路はダメ、路肩寄りの車線は平気だが中央車線はダメという人も多い。これもすぐに逃げられる状態かどうかがカギとなる。
- エレベーター
閉所恐怖症の人も苦手なエレベーター。狭い密閉空間に見ず知らずの人と接近するという独自の環境が「逃げられない感」を強める。
- 歯医者
他人が自分の口の中に器具を入れるという行為だけでも「オエッ」となってしまう人もいる。また身動きの取れない拘束状態で余計に恐怖心が強くなる。
- 病院
病院には体調を崩して気分が悪い人がいる可能性がある。すると嘔吐に遭遇する可能性も高くなるので、病院と嘔吐への関連性も強く感じてしまう。
- 美容院、床屋
手足の自由が利かず一方的に髪を切られる状況。鏡の前に映る自分の姿はまさに「まな板の上の鯉」状態。万一気分が悪くなってもすぐにトイレに駆け込むこともできない状態なので、美容院や床屋さんが苦手という人も少なくない。
- 授業や講義、会議
学生であれば授業や講義、会社員であれば会議に抵抗感を感じる人もいる。すぐに離席できないような形式張ったものであればあるほど、自由度がなくなり苦手意識も強くなる。
- 映画館や劇場、コンサート
映画やコンサート、演劇などは一旦席についてしまうと、なかなか抜け出せない。出来るだけ出入口に近い後方の席だとなんとか平気だが、奥まった座席になればなるほど不安が大きくなる人もいる。
- コース料理、小分け料理
これは嘔吐恐怖症の方ならではの症状。オードブルや鍋料理であれば、誰がどれくらい食べたのかはわからないが、コースや一人ひとり小分けされた料理だと自分の「ノルマ」が一目瞭然になる。そうすると「全部食べられるかな?」「気持ち悪くならないかな?」「残したら悪いな…」というプレッシャーや不安が大きくなってしまう。
- 会食、飲み会
特にお酒が入る場面だと大きな不安が出る。なぜなら「誰かが吐くかもしれないから」である。特に過去に酔っ払いが吐くシーンを目撃したことのある人は、「お酒=吐く」というイメージが潜在意識に刷り込まれており、お酒を連想させる場面が嫌になる。夜の電車が苦手という人もこの心理が影響している。
- 慣れない場所、初めての場所
慣れた場所であれば、トレイはどこにあるのか?混み具合はどれくらいなのか?ということが把握できて安心できる。しかし慣れていない場所や初めての場所はそれが全くわからない。人間は未知のことに対して大きな不安を感る、ということからも慣れない場所や初めての場所がが苦手である。
- 人混み
たくさんの人がいるとそれだけで圧迫感や息苦しさを感じてしまう方もいる。また人が多ければ多いほど注目される視線も多くなるため、「もしこんなところで気分が悪くなったら…」「吐いてしまったら…」「周りに迷惑をかけるし、恥をかく」という意識が強くなってしまう。
- 注目される状況
嘔吐恐怖症の方は自分一人で部屋にいるときにはあまり不安を感じない人が多いようである。しかし自分への注目度が上がれ上がるほど、「気持ち悪くなったらどうしよう…」という不安が大きくなり苦手意識が強くなる。
嘔吐恐怖が引き起こす「将来への不安」
さらに、将来についても大きな不安を抱えてしまっている方も少なくありません。どんな将来なのかというと、例えば結婚です。
なぜなら、結婚すると以下のような流れが発生する可能性があるからです。
結婚→妊娠→つわり→出産→子育て(子どもが吐いた時に対処できる自信がない…)
本当は結婚したいのに、子どもも欲しいのに、つわりや子どもの嘔吐が怖くてなかなか結婚や出産に踏み切れなかったり、結婚や出産自体を諦めている方もいるのです。
また、進学や就職、転勤などに不安を感じる人も多いです。これまでの慣れ親しんだ環境から新たな環境に変わると、先程ご紹介した苦手な場所や場面に遭遇する確率も高くなります。そんなまだ起きぬ未来への「予期不安」が強くなるのです。
こうなってしまうと、本当に嘔吐恐怖症が人生を左右してしまうことになるのです。
嘔吐恐怖症の原因
では、嘔吐恐怖症の人はなぜそこまで吐くことを嫌うのでしょうか?
嘔吐恐怖症の原因は大きく分けて2つあります。
1.自分の直接体験
2.他人からの間接体験
1番は例えば昔自分が風邪や胃腸炎、車酔いなどによって吐いてしまったり、吐きそうになって苦しんだ体験。あるいは少食や食べるのが遅いのに、家庭での食事や給食の時に無理やり食べさせられて気持ちが悪くなった体験がなどがきっけになっているケースです。
この直接体験のインパクトが強ければ強いほど、そして日常的に頻繁に繰り返されて来たほど、恐怖症になる確率も高くなります。
2番目は、自分が吐いたり苦しくなった体験ではなく、例えばクラスメートが教室や遠足のバスで吐いた。家族が車酔いやお酒に酔って吐いた。といった出来事を間近で見ていて、嫌悪感や気持ち悪さ、心配や恐怖心などを強く感じた場合に起きるケースです。
1番と2番どちらのタイプも過去の出来事のインパクトと繰り返しがポイントとなっています。
私たち人間には自己防衛本能が備わっています。
過去に痛い思いや嫌な体験をすると、そしてその体験のインパクトが強ければ強いほど、「二度と同じ辛い目に遭わないようにしよう!」と潜在意識が作動し始めます。これが自己防衛本能になる訳です。
ですから、本来恐怖症というのは、自分が危険を感じる場面に自ら足を運ばずに安全を保つために起こしている「警報」のようなものなのです。
「危ないぞ!危険だぞ!あの嫌な場面が迫っているぞ!」と不安や恐怖心、身体の違和感としてアラームを発動しているのです。
嘔吐恐怖症になりやすい性格、タイプ
では過去に嘔吐に関する強烈な体験をした人すべてが嘔吐恐怖症になってしまうのでしょうか?
もちろんそういうわけではありません。やはり性格や資質による個人差があります。
ではどんな性格やタイプの人が嘔吐恐怖症になりやすいのでしょうか?
例えば以下のようなタイプの人です…
- 真面目
- 他人の目を気にする
- 人に迷惑をかけてはいけないと強く思っている
- 人前で恥をかいてはいけないと強く思っている
- ネガティブ思考
- 心配性
例えばお酒を飲みすぎてお店で吐いてしまったとします。でもそのことを必要以上に気にしないような人は嘔吐恐怖症にはなりません。
一方、お店で吐いてしまったことを恥て、周りにとんでもない迷惑をかけてしまったと悔やみ、そんなことになってしまった自分に自己嫌悪を感じる人。
「きっと吐いてしまった自分のことを周りはバカにしている…」
「無礼な奴だと思われているかも…」
「キモいと思われていたらどうしよう…」
嘔吐恐怖になってしまう人は、このような意識が働いてしまうタイプが多いようです。
ですから周りからは「きちんとしている」「道徳観がある」と見られている人が多いのです。
嘔吐恐怖所の治療、克服方法
一般的な精神科などでは投薬治療、認知行動療法、暴露療法をメインとした治療がされますが、精神安定剤を処方されておしまいというケースも多いようです。
あるいは先生によっては「吐くことは誰だって嫌ですよ?あまり気にしないようにして下さい。一応お薬処方しますので。では次の方どうぞ…」という全く理解のない対応をするお医者さまも残念ですがごく一部にいらっしゃるようです。
「気にしないでください!」
「はい、では今日から気にしません!」→問題解消!
となれれば、わざわざ診察は受けませんからね。
もちろんお薬の力を借りて徐々に苦手な場面に慣れて行き、克服を目指すという方法もあると思います。しかしお薬で一時的な不安は和らいでも、根本的な解決にはつながらないケースも多いのです。
先程の原因で説明したように、そもそも恐怖症は自己防衛本能ですから、それを麻痺させることはできても、麻痺の効果が切れれば余計に防衛力を強めてしまうこともあるのです。
また無理やり自己防衛本能を解除しようとすると、余計に防衛力を強めてしまうこともあり得るのです。
ですから自己防衛本能を一時的に麻痺させたり、力尽くでねじ込むのではなく、抵抗を受けずにうまく解除させることが大切なのです。
ではどうすればそのようなことが可能なのでしょうか?
例えば、あなたは昔恋人に酷いフラれ方をして傷ついたとします。では今その人が目の前に現れたらどうでしょうか?怒りがこみ上げてくるかもしれませんし、当時の辛さを思い出すかもしれませんよね。昔のことだと割り切っていたとしても、本人を目の前にすると、はやり平常心でいることは難しいと思います。
では、もしあなたが記憶喪失なってしまったらどうでしょうか?
その人の顔も名前も、フラれたことも覚えていないとしたら?
きっと目の前にその人が現れても「誰??」となるだけだと思います。
では、過去に胃腸炎で吐いて辛い体験をした人がいるとします。それがきっかけで嘔吐恐怖症になってしまった…
もしこの人が記憶喪失になってその辛い体験を忘れてしまったら…嘔吐恐怖症の症状はどうなりそうですか?
きっと、フラれた相手に反応しないように、何の反応も起こさないと思います。
ということは、目の前の出来事や対象物に反応しているのではなく、脳の中にある「記憶」に反応していると言えます。
では記憶とはなんでしょうか?
それはイメージなのです。辛い時の映像、聞こえた声や音、匂いや感覚、その時の感情、これらが一つの記憶としてセットで納められているのです。
そして、目の前の状況が過去の記憶との関連性が高ければ高いほど、自己防衛本能が発動するのです。
ですから逆を言えば、記憶という脳に納められたイメージを変えてしまえば、目の前の状況にも反応しなくなるのです。
そのために行う嘔吐恐怖症の改善方法こそが、吐くことに対するイメージや吐くことを苦手とする自分のセルフイメージを改善することなのです。
例えば、過去の記憶のイメージ転換の具体的な方法は、
- 目の前の壁などに過去の記憶をイメージする
- その記憶を巻き戻しする
- その記憶の嫌な部分を圧縮させる
というような、まるで映画のフィルムを切りとって再編集するような作業を行うと、実際の記憶も再編集されるのです。言葉だけで説明すと「そんなことで記憶が変わるの?」「イメージを変えるだけで現実も変わるの?」と疑問を感じますが変わるのです。
嘔吐恐怖症の改善事例
ではイメージワークを使って実際に嘔吐恐怖症を改善された女性の体験談をご紹介します。
今までの辛さをエピソードを入れてお教えください。
嘔吐恐怖症の私は、外食の日程が決まるとその日まで毎日ドキドキが続き、いざ当日になると喉が詰まり飲み込みにくくなり、気分が悪くなります。実際にお店に入った時がピークで、手汗、喉の違和感、ドキドキが強くなり頭の中は嘔吐に対する恐怖でいっぱいになり、会話もうまく出来ず、早く逃げ出したいと思うばかりです。
抗不安剤を飲んで少し気分は落ち着くものの、家に着くまで恐怖心は消えず、食事はほぼ出来ません。食事の場面でなくても、旅行(公共の乗り物や相手がいるドライブ、人の多い所)や美容室、歯医者、映画館などの逃げられない場所でも恐怖心が強くなり症状が出ます。多くの人が楽しんだりリラックスしたりする場所が、私にとっては苦痛や恐怖で辛かったです。
このセラピーの良さは何ですか?
何か少しでも心が楽になる方法は無いかとインターネットで探していた時、中村先生の動画にたどりつき、とりあえず無料電話相談だけでも受けさせてもらおうと思いました。実際に電話でお話をした時、私の辛さや苦手なこと、症状などをスルスルと理解してもらえ、とても安心しました。
セラピーではたくさんのお話をしつつ、先生の質問のままにイメージをしたり体を動かしたりしました。自分のイメージを伝えるのが少し恥ずかしいと思うこともありましたが、中村先生は絶対に否定をしないので、素直に言葉に出して自分のペースで楽しめました。
セラピーを受けて良かったと感じたり、変化を感じたのは、どんな場面ですか?
3回セラピーを受けて治していくことを目標にしました。
1回目のセラピーの後、会社の飲み会に薬を飲まずに参加することが出来ました。食事量は今まで通りでしたが、症状が軽くて会話を楽しむ余裕もありました。
2回目のセラピーの後、何度か行った慣れた店で一人前の料理が食べられたのです!!もちろん毎回食べられるわけではないのですが、明らかにセラピー前とは変化していました。そして食事をしないけど苦手だった場所では、恐怖心も軽くなり症状がほとんど出なくなりました。出てしまっても早く落ち着かせられるようになりました。
3回目まで受け終わり、完治したわけではないけれど、自分の症状を受け入れつつ、治していける自信と希望が持て、今まで苦痛だったことを挑戦してみようと思えるようになりました。
あなたと同じような悩みを抱えている方への励ましのメッセージをお願いします。
半年前まで、どんどん恐怖心が強まって行動に制限が出る自分に不安でたまりませんでした。そんな時に中村先生と出会い、実際にセラピーを受けて、少しづつ改善していく症状に驚きました。出来なかったことが出来るようになる嬉しさや驚きを、一人でも多くの人に体験してほしいなと思います。インターネットでの出会いに不安を感じ、一歩踏み出すまでに勇気もいるかと思いますが、きっと心が楽になる自分に出会えると思います。
嘔吐恐怖症の解説動画
体験談の中で出てくる「動画」というのは以下になります。ぜひ参考にしてみてください。