プラス思考、マイナス思考
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【第5講】プラスの自分vsマイナスの自分
いきなりですか、あなたは気づいていますか?
あなたの中には「プラスの自分とマイナスの自分」がいることを。
おそらく多くの方が気がついているのではないでしょうか?
自分の中には、マイナスやネガティブな自分とプラスやポジティブな自分が混在しているということに。
そして調子の良いときには、ポジティブでプラスな自分が優位になっていて、逆に調子の悪いときや嫌なことや不安なことが起きたときにはネガティブでマイナスな自分が優勢になる。誰もがそんな体験をしているのではないでしょうか。
あるいは、「自分はずっとマイナスな状態だ…」そう感じている方もいるかもしれませんね。そして「マイナスな自分」を感じるとこう思います。
「どうして自分はこうなんだ…」
「なんて自分はダメなんだ…」
「もうこんな状態イヤだ…」
と落ち込みます。
実はこの落ち込みの原因も「比較」なのです。では何との比較なのでしょうか?
それは、他人との比較だったり、過去の良かった自分との比較だったり、理想の自分との比較だったりするのです。
そしてそのギャップを感じてさらに落ち込んでしまうのです。
あるいはこのように意識を切り替えるかもしれません。
「こんなことじゃダメだ!」
「物事はプラスに考えなきゃ!」
「ポジティブ思考で行かなきゃ!」
と無理やり自分を奮い立たせようとしたりします。
ではそれで本当にプラスの自分になれるのでしょうか?
確かに本屋さんでよく見かけるポジティブ思考の本や、勇気の出る言葉などを見ると、勇気ややる気が湧いてきます。
ただ、悲しいことにそのプラスの感情は一時的なもので終わってしまいます。またすぐに元に戻ってしまうのです。
プラス思考だけで本当にネガティブな状態から抜け出せるのであれば、精神的なストレスを抱える人がこれだけ増えてはいないと思います。
では、どうしてプラス思考は根本的な解決にはつながらないのでしょうか?
結局プラス思考というのも「比較」だからです。
今のネガティブな状況に向いている焦点を無理やりプラス方向に向けているだけなのです。
いくらプラスの状態の自分や未来のあるべき自分を意識しても、その横にはどんよりと沈んだ自分がいます。
無意識は意識の2万倍のパワーを持っていると言われています。ですから、たとえ意識上でプラスに切り替えたつもりでも、無意識など到底ダマせないのです。
では無意識にまで影響を与えて、ネガティブな自分から抜け出すにはどうすれば良いのでしょうか?
そのキーワードは「理解」です。
ポジティブ思考の大前提は「ネガティブは悪者だ!」ということです。
でもよく考えると、悪者だというのは誰が決めたのでしょうか?
ポジティブ=良い
ネガティブ=悪い
本当にそうなのでしょうか?
たとえば、もしあなたが飛行機の整備士だとします。そして原因が良くわからない故障が起きたとします。
そんなときには「あれが原因か?いやそれともコレか?」と常に最悪の状態を想定して、その原因をひとつひとつ確実に確認したり検証したりしますよね。
「きっとこの部品さえ交換すれば解決するさ!」
「他に何も問題ない!」
と世間で言うプラス思考的な発想になるなんてありえませんよね。
お医者さんも一緒ですよね。どんな些細な症状でも、その裏に大きな病気が隠れていないか?と、これでもかと言うくらいにネガティブを想定します。
そしてどれだけネガティブに焦点を当てられるのかどうかが、名医と普通のお医者さんとの違いでもあるのです。
「確かにそうだけど、それは職業だからでしょ!?」
確かにそうですね。ただ私が言いたいのは、
「ネガティブ=ダメ」
「ポジティブ=良い」
というのも、ひとつの価値観に過ぎない
ということなのです。
マイナスな状態の自分はダメだ!
プラスの状態の自分がOKなんだ!
という感覚が必ずしも真実ではない、ということなのです。
マイナスやネガティブにも必ず意味があります。
例えば、過去に嫌だったけど今考えると良かった。と思える出来事や体験が誰しもひとつはあるのではないでしょうか。
起きてしまった事実は過去も今も変わらないのにその捉え方が変わったのです。
時間が流れ、さまざまな体験をする中で過去の出来事への理解がさらに深まったとも言い換えられると思います。
田んぼをイメージてみましょう。
稲穂で一面がおおわれた収穫の秋。とても豊かで誇らしい光景ですよね。農家の方にとっては喜びもひとしおだと思います。
では収穫が終わり荒れ果てた冬の田んぼには価値がないのでしょうか?
見た目には殺伐として生命感がなくなったように見える冬の田んぼ。しかし、この時期は春の田植えに向けてしっかりと土を休めている欠かせない時期でもあるのです。
春が来て、夏を過ぎ、秋を迎える。そして冬を過ごして再び春が来る。季節は一見すると全く違う景色や面影です。しかしそれぞれの季節は単独で存在しているのではありません。いつも連続しているのです。
そしてその時間の流れの中で、必要な時期に必要な状態に変化しているのです。
私たちの人生でも同じことが言えるのではないでしょうか。
一見ネガティブな現象やネガティブな自分でも、それは良い悪いではなく、その状態には、あなたの人生という長い時間の流れのなかで、必ず大きな意味を背負っているのです。
プラスの自分もマイナスな自分もありのままを一旦受け入れてみる。
例え0.1%しか受け入れられなくても、それがあなた自身、そしてあなたの人生への深い理解につながります。
マイナスな自分を感じたのなら、ぜひその状態の意味に思いをはせて、深い理解へつなげてください。
うまくできなくても構いません。うまくできない自分を責める必要もありません。
ちょっとだけ今までとは違う方向に意識を向ける。そんな小さな変化が、必ず大きな変化につながって行くのです。
以上、第5講「プラスの自分vsマイナスの自分」でした。
次回をお楽しみに!
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